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ベクトルドロー・レベルゼロ

家庭用3Dプリンタは、何に使うもの?

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新規作成日 2016-10-06
最終更新日

3Dプリンタは、コンピューターの中で作成した立体物のデータを元に、立体物を出力することができる装置です。

工業的には、ラピッド・プロトタイピングと呼ばれ、かなり以前から活用されていました。NC切削機と同じく、コンピューター上で作成した立体のデータを実際に作成することができる装置です。

近年、いくつかの特許権利の期限が切れたことにより、家庭用の低価格な3Dプリンタが入手できるようになりました。

出力装置が低価格で入手できるようになっても、実際に活用するには、3Dデータを用意する必要があり、出力条件を検討する必要があることから、誰もが手軽に使えるわけではありません。しかし、コンピューターの中で作成した形状を作成できることは、とても魅力的です。

3Dプリンタで出力するために必要なもの

実際に、3Dプリンタで、立体物を出力するためには、パソコンの他に、以下の物が必要になります。「出力する立体のデータ」以外は、出力受託サービスを利用すれば、サービス内で、対応してもらえます。もちろん、自分で、3Dプリンタ使って出力する場合には、自分で行う必要があります。

  • 出力する立体のデータ
  • 3Dプリンタ
  • 3Dプリンタの出力条件
  • 立体化するための素材
  • 後処理

出力する立体のデータ

作成する立体物のデータは、自分で作成するか、どこかかから入手する必要があります。

自分で作成する場合は、3D-CADや3D-CGツールを使用して、立体を作成し、STL形式のデータを作成する必要があります。STL形式のデータは、ポリゴンとも呼ばれます。

3DスキャナやCTデータは、点群のデータになるので、3Dプリンタで出力するためには、STL形式に変換する必要があります。

家庭用3Dプリンタの用途

家庭用3Dプリンタの黎明期には、立体を作成できることだけに注目が集まり、用意された立体のデータを出力して出力できたことに満足して終わりということも多かったようです。

しかし、最近では、3Dプリンタを活用した出力物を活用する流れがある程度明確になってきました。そのため、「なんだか使えそうなので3Dプリンタを購入してみる」、「3Dプリンタで何をすればいいのかわからない」という状況は、少なくなり、実際に、趣味や実益で活用している例が増えてきています。

3Dプリンタを購入する場合、有効に活用する方法を明確にしてから購入することをお勧めします。

3Dプリンタの用途の例
  • 模型の制作
    • 自動車・飛行機などの模型(いわゆるプラモデル)
    • 自分物・動物などの模型(いわゆるフィギュア)
    • 建築物の模型
  • プラスチック部品・治具の制作
    • 家庭用家電の修理部品
    • 配管ジョイント
    • 電子基板のケース
    • 機構模型・小型機械の部品
  • ルアーの制作
  • ジュエリー制作

実際に、活用している人が、ホームページ、ブログ、SNS、動画情報サイトなどで、自分の作品やその制作過程についての情報を発信していることがあるので、探して参考にするといろいろな情報やテクニックのヒントを手に入れることができます。

キットを組み立てるか、完成品を購入するか

家庭用3Dプリンタは、SNSやブログを見る限り、トラブルが起きるもののようです。

購入初期は、正常に動作していても、使っていくうちにうまく動作しなくなり、修繕が必要になります。うまく動作しなくなった時点で、使用することを諦めてしまった方は、一定数いるようです。

3Dプリンタで、作成した出力品を得ることが目的であれば、購入価格が多少高くても、壊れにくく、調整の必要が少ない完成品の機種を選んだほうが、立体モデルを出力することに集中できます。うまく動かなくなった場合は、代理店に修理を依頼できます。

3Dプリンタを使用する目的は、大きく2つに別れます。3Dプリンタのような、メカトロ系の興味を満たす目的とフィギュアや模型などもでんリングした形状を出力する目的です。

前者は、3Dプリンタ、NCルータ、ロボットハンド、プロッター、レーザー加工機などを作成することを目的とした機構や電子回路、制御プログラムの理解や検討に興味の中心があります。

後者は、立体作品を出力することを目的としており、作品を出力するための工程の1つとして、3Dプリンターを捉えています。その結果、改造やメンテナンスは、限りなく手間と時間を裂きたくないものの、作品を出力するための工程の1つとして、考えています。

家庭用3Dプリンタの造形方式

3Dプリンタの立体の造形方式は、一般的には、3つの方法があります。

3Dプリンタの方式
  1. 光造形方式(DLP, SLA, LCD)

    光重合開始剤が含まれた樹脂をレーザーや紫外線で重合させ形状を作成します。

  2. FDM(熱溶解積層法)

    溶かした樹脂を積み重ねて立体を作成します。FFF(熱溶解フィラメント製法)方式とも呼ばれることがあります。

  3. 粉体固着法

    粉体を一層、一層固着させ、立体を形成します。石膏や澱粉を接着剤で固めていくもの、樹脂や金属粉をレーザーで溶融させて固めていくものがあります。

家庭用の3Dプリンタは、低価格である必要があり、基本特許が切れた方式のものに限定されています。低価格な3Dプリンタは、現時点では、光造形方式とFDM方式が使われています。どちらも樹脂で立体物を作成します。

光造形方式は、光重合開始剤が入ったモノマー(レジン)をレーザーあるいはUVランプで重合させ、立体を作成する方式です。造形解像度が高いので、出力物をパテで肉盛りしたり、削ったり、研磨して、形状を修正する作業が少なくてすむ傾向があります。一方、造形材料となるレジンが比較的高価であるため、大型の造形物を出力する際は、原料コストが負担になります。また、出力後、重合して固体化していないレジンを洗い流し、固体化した出力物に光を当て更に重合を促進させる2次硬化と呼ばれる作業が必要になります。

FDM方式は、FFF方式とも呼ばれ、フィラメントと呼ばれる樹脂の糸を溶かしながら積み重ねて立体化する方法です。フィラメントは、光造形方式のレジンと比較し、原料コストが安い傾向があり、大きい造形物を出力する際に使用されます。

小型で低価格の家庭で利用できる装置は、1の光造形法と3の熱溶解積層法の装置があります。大型の装置や粉体固着法の装置は、3D-プリントサービスで利用することになります。

最近低価格な機種が登場するようになりました。しかし、低価格な装置は、装置の調整や改造、出力条件の検討、装置の修理の手間が多く必要な傾向があります。装置の修理は、部品の交換を伴うことが多いので、状況によっては、本体価格に匹敵するほどの交換部品を交換していく必要がある場合があるそうです。

日本に販売代理店が、あれば、日本語でのサポートや国内での修理、部品購入時の送料などの負担が下がります。より積極的なサポート体制を持つ代理店が扱っている商品を選択したほうが幸せになれる可能性が高いです。

小型で低価格の家庭で利用できる装置は、1の光造形法と3の溶融物堆積法の装置があります。大型の装置や粉体固着法の装置は、3D-プリントサービスで利用することになります。

使い方の概要

出力を依頼する

3Dプリンタを使って出力する際は、自分で、3Dプリンタを使って出力する方法の他に、出力受託サービスを使用する方法があります。出力条件は、出力受託サービス側が行ってくれるので、データを渡すだけで、出力物を得ることができます。大きなサイズの出力物は、高価になるので、利用の際には、注意が必要です。

作品出力価格

素材が高いので大きなものを作成するには、ほとんどの場合、別の方法で作成したほうが安くなります。データ納入から、形状作成までの時間が短いところに優位点があります。

小さなものを作成する際に、使用することに向いています。また、モデルの中身を空洞にして材料の使用量を減らして、材料の消費を減らす方法も取られます。

また、様々な種類の材料が販売されていますので、目的に合わせて選択する必要があります。

3Dプリンタの運用技能を高めて受託している方もいますが、受託価格の指標には、DMMの3Dプリンタ出力サービスの価格を目安にしているという話も聞きます。

3Dプリンタで出力するためののCADモデル

個人で入手できる価格の3Dプリンタが、数多く販売されています。その殆どは、RepRap プロジェクトであり、オープンソースです。

RepRap プロジェクト

CADデータは、STL形式で配布されていることが多いです。

3D-CADを使っている人の中には、使用している3Dモデルを使っている3D-CADでモデリングし、アセンブリしてみたいと考える人もいると思います。配布されているSTLデータを元に部品をモデリングし、アセンブリしてみるのもよいかと思います。

それぞれの3D-CADで、モデリングしたデータを実際に公開されている方がいます。

スライサー

STL形式のモデルデータを輪切りにしたデータに変換するスライサーと呼ばれるプログラムで、完成する形状の制度に大きな違いがあるようです。

Simplify3Dを使用している方が多いようです。

  • Simplify3D

    サポート除去の容易さに定評がある

  • Simplify3D 日本代理店
  • Slic3r

    精度があまり良くなく、サポート除去が困難らしい(バージョンの更新により状況が変化することに注意して下さい)

  • KISSlicer

    精度は良いか、サポート除去が困難らしい(バージョンの更新により状況が変化することに注意して下さい)

  • ChiTu

    DLP向けのスライサ。

  • Pathio
  • Autodesk Meshmixer

出力形状の確認でよく使用されているモデルデータ

3Dプリンタを使用する方が、設定やフィラメントの違いで、出力形状の違いを確認するためのデータがあります。 独自のデータを作成してもいいのですが、よく使われているモデルを使用すると比較が容易です。

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